NAIST 体験記
注意事項
この記事は、奈良先端大の卒業記念ポエムです。
個人的な体験談に基づく感想である点にご留意ください。また、身バレとブログの文章量を抑えるため、ところどころ適当に書いています。詳しく知りたい!という方がいれば、Twitterやブログのコメント欄にてお知らせください。
また,この記事で述べられているイベント(e.g., ご飯を食べに行った,ラーメン屋に行った)などは,コロナによって不要不急の外出が禁じられている時期に行われたものではありません.
はじめに
NAIST受験記 - 予鈴 を書いてから2年と少しが経ち、奈良先端大を 3/24日に無事卒業することができました。大学、大学院ともに情報工学を専攻し,ソフトウェア寄りの研究を行っていました。
NAISTの環境(物理)
アクセスといろいろな環境とか
2年間実家(大阪の隣の県)から電車と徒歩で奈良まで通っていました。寮に住んでいる方の体験記はありますが,実家通いから見たNAISTの環境の体験記は少ないと思うため,この機会に書き残そうと思います.
NAISTは最寄り駅の学研北生駒駅から徒歩20分程度の場所に位置しています。NAISTまでのアクセスですが,最寄り駅の学研北生駒はそこまで便利な駅ではないし*1、奈良先に向かうバスの本数も多くないので、はっきり言うと便利ではありません。加えて、学研北生駒 → 奈良先端までは上り坂と下り坂です.夏場は歩くと汗が止まらなくなります.
アクセスとは少し異なりますが,キャンパスは大自然に囲まれています.情報棟を出て真っ先に目に映るのは,自然豊かな緑です.夏場はカエルの大合唱が聞こえたりします.(余談ですが、運が良ければうさぎ、白い鳥、たぬき、リスなどに出会えます*2。空気は毎日がキャンプ場です)
自宅から通う学生は,お弁当を持ち込むか,食堂で食べるか,あるいは周辺で何かを買うかのいずれかになると思います.残念なことに,学研北生駒駅からNAISTに向かう道までにコンビニは1軒しかありません。大学生や大学院生行きがちなお店(ラーメン屋やすき家)なども徒歩の圏内にはありません。あまり遊びにでかけない自分から見ても、便利とは言い難い環境でした.
ただ、車や電車を使うとそれなりに便利な環境にアクセスできます。(富雄とかイオンとか…
僕は車を持っている同期によく連れて行ってもらっていました.
実家が通いから見ても、まぁまぁ過酷な環境だったと思います。
食堂・コンビニ
上述の通り、周辺になにもないので食堂でご飯を食べたり,コンビニでご飯を買うことが多かったです。
どちらも規模は大きくありませんが、大学院大学であることを考えると十分だったと思います。食堂では、日替わりメニューと通常メニューがあります。僕は日替わりメニューの頼み方がわからなかったので、常に通常メニューを頼んでました。少し値が張りますが,カレーうどんがおすすめです.コンビニでは定期的に品物が入れ替わっており,飽きることはありませんでした.
図書館
修士2年間で積極的に用いることはありませんでした。ただ、修論執筆中などの極限精神状態でラボの作業が困難なときは時折使っていました。
学部時代の図書館がものすごく恵まれており(ここ)、ここと比較するとどうしても見劣りしてしますが、特に不便な点はありませんでした。個人的には、もう少し蔵書が多いと嬉しかったです。
NAISTでの環境(研究とか)
後にも述べますが、この章は筆者が所属していた研究室の感想になります.このあたりは,研究領域と研究室の色で大きく変わります.ご注意ください.
学校での生活
修士の間はかなり忙しかったと思います。個人差がかなりありますが,ざっくりと時系列順に並べると
M1: 入学 → 授業(前) → (夏休み) → 授業(後) → チューター → 中間発表 (M1終)
M2 : 就活 → 研究/授業 → (夏休み) → 中間発表 → 修論 → 卒業
といった流れでした。ただ、この間にオープンキャンパスの準備(義務ではありません)やICPCに取り組んでいたため、体感的には大忙しでした. 授業を取っていた時期は特に忙しかったような気がしています.
また,人によってはかなり早い段階から就活・インターンに取り組んでいる人もいます.大学院はモラトリウムの延長と言われることもありますが,そこそこ本気で取り組むとモラトリムのモの字も無いような生活になると思います.
研究活動はこれらの合間を縫って進めなければなりません.大変でした.
授業
あまり詳しくは述べませんが、それなりに大変です。単位を落とすと研究活動にも支障を及ぼすので、できるだけM1の間に集めておいたほうが良いかもしれません。
CS系の授業はもちろんのこと、面白い授業が多かったです(サイバーセキュリティとか、理解するのは大変ですが)
おすすめは科学哲学です。今でも強く印象に残っています。残念ながらしょっぱい評価でしたが,内容自体はとても興味をひかれる内容でした.在校生の方はぜひ.
チューター
新しくNAISTに入学する留学生の諸々の手続きを手伝うやつです。
市役所に出向いて書類を一緒に書いたり、日用品の買い出しを手伝ったりします。日本語が得意ではない留学生もいるので、その場合は英語で説明することになります。入学に必用手続きは、そもそもかなり大変です。チューターの業務ではこの責任重大な手続きを英語縛りで行うことになります。
お給金的には……かなり損ですが、過去自分が短期留学したときはホストの国の人に助けてもらったので、その恩返しだと思ってやりました。間違いなく貴重な経験の一つだったので、もしチャンスがあればぜひ挑戦してみてください。プライスレスな経験でした。
中間発表
M1,M2のそれぞれ一度ずつコロキアムという中間発表があります。これがかなり大変です。
しっかり準備して望まないと、かなり厳しい質問愛のムチが飛んできます。
自分の場合,研究は締め切り駆動型だったので、コロキアムの1ヶ月前から研究そのものペースを上げてコロキアムに備えてました。
コロキアムは中間発表ですが,自分は研究をすすめるモチベにしていました.ある程度の期間で発表できる進捗を生むように研究を進めるのは大変でしたが,いいペースメーカだったのでは無いかと思います.研究を進めると全然だめなことがわかって進める以前にロールバックしたりしましたが...
中間発表は自分の発表番以外にも数回の視聴が義務付けられているので、必然的に自分の研究分野以外の研究も聞くことになります。同じ情報系といっても、研究の内容は全く違うことが多く、面白かったです。
(過去自分が参加したセッションでは、最初にセンサーを用いたような研究から、半導体関連の研究の発表まであり、レイヤー高低差にびっくりしたことに覚えています)
研究室
自分が所属していたのは下記のような研究室でした
- 研究分野はソフトウェア寄り
- コアタイムなし
- 週に一度に全体のミーティングが1時間ほど
- 別途細かいチームに別れてミーティングあり
- 研究室の運営はM1に役割が振られる(ウェブ更新係など)
- 留学生の比率は高め
進捗報告会なども無いため、自分自身から指導教員にミーティングをお願いする人が多かったです。自分は(締め切り駆動型で怠惰なので)不定期でミーティングを行っていました。
研究室の環境(物理)
環境としては、かなり恵まれていたと思います。研究室の設備だけ見ると,雰囲気はイケイケのベンチャー企業のようでした。
研究室から貸与されたディスプレイ(高くていいやつ)、Mac Book Pro, Mac miniに加えて、十分な性能のサーバーなどを利用することができました.研究分野的にGPUやCPUパワーで殴ることはなかったので,計算資源で困ることはありませんでした。
研究室の環境(not 物理)
留学生が多く,和気あいあいとした雰囲気でした.研究室内では英語・日本語・タイ語 の3つがよく用いられていましたが,いずれも完璧でなくてもよく,とりあえず喋ってみようという感じでした.英語が堪能でなくとも,コミュニケーションを取るだけならなんとかなります(個人の感想です).
日本人学生が留学生とチームを組んで論文を書く といったこともありました.
留学生と研究のディスカッション,論文の書き方などを議論するには,それなりの英語力が要求されます.良い経験でした.*3
研究室では積極的に論文投稿を行っており,ooがxxにアクセプトされたなどのニュースは日常茶飯事でした.特に有名なジャーナルの締め切り前などは,ラボのメンバーがoverleafの前で黙々と作業をしており,非常に活発な研究室だったと思います.
このような環境だったこともり,僕が所属していた研究室では,実験して論文を書くといったことは特別なことではなく,日常となっていました.殆どの学生が,修論を書くテーマ以外に別のテーマで研究を行っていました.
私生活
コロナウイルスによる諸々
自分が入学した頃(2020年)はコロナウイルスが猛威を奮っており、体感的には1/4程度の月日をオンラインで家から参加することになりました。授業のみならず、研究やミーティング、競プロコミュニティの活動や中間発表なども一部オンラインでした。
幸いにも,NAISTは授業アーカイブなどの設備があり,特に不便を感じるようなことはなかったです.ミーティングなどもZoomやwebexなどを用いて行えるようになっていました.対面での作業を強いられるようなことはありませんでした.
就活
就活なんかせんでええ!人生は冒険や!!
とは行かず,やはり就活には取り組む必要があります.僕は全くやる気が出なかったのですが、運良く声をかけてくださった企業があり、今はその企業で働いています.
所感ですが,就活に力を入れている人は多く,一度は聞いたことがある企業に内定をもらっている人が多かったです.
やる気がない自分でもなんとかなったので,就活はそこまで苦労しないかもしれません.
研究
卒業したので明かしますが,大学院への進学理由はモラトリウム・競プロ・研究の3つであり,全部平等に力を注ぐつもりでしたが,結果として多くの時間を研究に費やす事になりました.
やはり環境の力は大きく,自分もなにかせなあかんなという気持ちになり研究に向き合っていました.
最終的には,査読あり(英)と査読なし(日)に論文をそれぞれ提出し,後者は研究奨励賞をいただくことができました.両方とも,向き合っているときはかなり辛いお気持ちでしたが,研究室のメンバーや指導教員の先生方に助けてもらい,なんとか成果に繋げることができました.僕以外の同期のメンバーもなんやかんや体外発表や論文投稿を行っており,良く言えば刺激がある環境,悪く言えば,さぼればサボるほどプレッシャーが積もる環境だったと思います.
競プロ
主にプロコン部の活動とCodeforcesに参加していました.プロコン部ではICPCに参加し,予選敗北したり,Codeforcesでは青になったりしました.
ただ,学部のときのような精進はしていなくて,程よくお付きあいしていました,結果としてこれぐらいの距離感がちょうど良かったのかもしれません.
その他
箇条書きにします
・暇をしていたら,学内からソフトウェア開発のアルバイトのお誘いが来たのでやっていました.学内のプロジェクトだと研究との兼ね合いも取れて,お小遣いも稼ぐことができた非常に良かったです.
・土日にこっそり登校して,研究室で研究したり全然関係ないプログラムを書いたりしていました.コロナで人がいない時間帯に投稿するのが表向きの理由でしたが,関係なくこの習慣を続けていました.土日のNAISTは,穏やか空気が流れており,平和そのものでした.
・コロナ禍でイベント事は皆無だったのですが,同期とはコロナが落ち着いている時期だったり,などにご飯に行くことがあったり,誕生日を祝ったりしていました.これがなかったら精神的に落ち込んでいたかもしれません.
同期にとても恵まれた2年間でした.
その他
NAISTプロコンサークル
NAISTはサークルはほとんどありません.僕は,非公式のコミュニティであるNAISTプロコンサークルに所属していました.
コロナ禍でオフラインの活動が全滅気味でしたが,今も後輩くんが引き継いて活動を続けてくれています.
NAISTプロコンサークルでは,定期的にバチャを開きICPCの予選突破を目指しているコミュニティです.興味がある在校生の方はぜひ参加してください!
NAIST定点観測部
NAIST定点観測部では,あるポイントで写真を撮ってTwitterに投稿するのが伝統となっています.入部条件などは一切無いので,誰でも参加できます.
僕はかなり本気で取り組んでいました.特に気に入ってるやつをいくつか.
奥の木で季節感がわかるのが良いポイントです.
富雄
生駒駅から二駅のところに富雄という駅がありますが,うまいラーメン屋がめちゃくちゃ多いです.コロナが落ち着いている頃に,同期に車に乗せてもらってよく食べに行っていました.
何がすごいって,マジで全部美味しいんです.在校生の方はぜひ.駅に近いラーメン屋さんも多いので,最悪車がなくてもいけます.
なぜかNAISTからすこし離れるとめちゃくちゃ美味しいお店が多いです.近くにあればいいのに...
まとめ
いかがでしたか?
NAISTでの2年間は大変かつ有意義であり,苦しみと充実感は排他的ではないのだなぁと強く痛感した期間でした.また,先輩・同期・後輩,指導教員に非常に恵まれたと感じています.仮に違う世界線でNAISTに入学しても,出会う人が違っていれば,異なる結末になっていたのかもしれません.このあたりは難しいなと感じています.もし入学を検討している方がいらしたら,在校生の方にたくさん話を聞いてみることをおすすめします.
この記事を読んで,NAISTに興味を持ってくれたり,NAISTを知った読者の方がいれば,これにまさる喜びはありません.もし機会があれば,ぜひNAIST を訪ねて見てください.
末筆ではありますが,NAISTでお世話になったすべての方々に,深く感謝いたします.